ハック総研

NPO法人ハックジャパンが運営するプログラムから誕生したちょっとした豆知識、アイディア、ケーススタディが詰まったハックジャパン総合研究所(ハック総研)の公開ブログ。

フルタイム社員がいないリモートワークの会社が情報共有体制を変えられた秘密 <前編>

f:id:koyamaps:20171116130253j:plain


NPO法人ハックジャパンは今年の夏前から完全リモートワーク制の会社になりました。

これまでNPO法人を始めとした社員各自の雇用形態が異なる会社の場合、リモートワークの実現は出来ないと考えられてきました。

しかし今回のNPO法人ハックジャパンでの半年間の取り組みの中で、週5日出勤するフルタイム雇用を行っていないくてもリモートワーク化は可能であることが分かりました。

今回は弊社でどうやって「完全」リモートワーク化を実現したのか、半年間の動きをご紹介します!

※リモートワークは、テレワークや在宅勤務などと呼ばれる場合がありますが、本記事ではリモートワークで表記を統一しています。

今までは「リモートワーク」は問題だらけに見えた

やはり、リモートワークを始めようとする会社で必ず問題となるのが「誰が何をやっているのかイマイチ分からない」という問題です。プログラマーであれば、書いたプログラムの量、営業マンであれば成約件数という客観的な数字ベースの評価方法が出来ますが、なにゆえ企画の会社である弊社は約40%の社員が企画職。企画において数字ベースの客観的評価は出来ません。

特に以下のような場合だとリモートワークで実現するには一苦労でしょう。

  1. 1つの案件を複数名で担当
  2. 1人あたり4つの案件を異なるメンバーと掛け持ち
  3. 案件チーム全員が毎日出勤するわけでもなく、出勤時間も時差もあってバラバラ

ただ弊社では、ほぼ全ての案件が複数名で担当、国内外に散らばる社員やボランティア職員を1箇所にまとめるのは不可能な状態という状況ながら、改善方法を6ヶ月間かけて研究、調査を行いました。

[1] オフィスを完全に無くすことに乗り切る

リモートワークとオフィス出社の両方の体制を取ると、オフィスに出社している人がリモートワークの人とコミュニケーションを取ることを面倒がる雰囲気がありました。では、オフィスを完全に無くしてみたら良いのではないかという話で東京と大阪の2箇所にあったオフィスを設置しないという従来では考えられない奇想天外な改革を行ってみました。

実は、意外にも反応がよく大阪・東京の間のコミュニケーションも活発化し、結果的には良い効果を示せました。オフィスがなくなると電話した内容以外のコミュニケーションは全て記録されるようになったので後から発生する情報共有漏れも非常に減りました。

恐らく、次にオフィスを構えるのは顧客にサービスを提供するためのスペースが必要になったときでしょう。

 [2] 「ハックなホウレンソウ」という名の制度

 #ハックなホウレンソウ と聞くと何だかワクワク楽しい福利厚生で ほうれん草 を栽培する制度に聞こえるかもしれませんが、いわゆる一般的な企業でいう「週報」や「日報」のことです。

日報や週報とは一般的には上司に送るために嫌々書いてるようなイメージを思い浮かべるかもしれません。私も含めて過去に勤めていた会社は日報の提出義務がありました。しかし、全くもって面白くないのです。

FacebookやInstagram感覚で投稿したら、もっと楽しいんじゃないか?

当然ながら、面白いかどうかは仕事上はお笑い芸人などを除いて、普段の私たちの仕事上はどっちでもいい事ですが、楽しくあることは重要です。

f:id:koyamaps:20171114052849j:plain

 社員、ボランティアスタッフ、過去のプログラム参加学生が使う統一プラットフォームとして、Facebookの有料ビジネス版SNSとして知られるWorkplaceを使用することで使い方を説明することなく、まるで近況を投稿するように週報を提出するようになり、誰が何をしているのか、また長期休暇中などでも様子を全員がお互いに把握できるようになりました。

f:id:koyamaps:20171114054050p:plain

NPO法人ハックジャパン Workplace 社内グループより引用

 各自が現在取り組んでいることを魅力的に書くことで、ボランティアスタッフから社員まで全ての人の意識向上に繋がっており、あまり積極的でなかったボランティアスタッフも積極的になったりと効果が出始めました。

また、ワークショップの担当をしているボランティアスタッフなどは特にワークショップを開催していない週はプライベートのことを書いたりと、業務の状況の有無に関わらず書くことが重要であるということが今回の取り組みで分かりました。

 

後編に続く ・・・